吹奏楽部の為の楽器消毒におけるひとつの考察🎵顧問の先生方と考える安心かつ安全な活動にする為の選択とは!

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吹奏楽部の為の楽器消毒におけるひとつの考察🎵顧問の先生方と考える安心かつ安全な活動にする為の選択とは!


~いよいよ♪部活動再開!~

吹部の為の楽器消毒や体験入部における考察

 

はじめに

 少しずつ吹奏楽部の活動も再開してきました!現場で子供の為に試行錯誤して頂いている顧問の先生方には心より感謝いたします。何かお役にたちたいと思いながらも何も出来ずの今日この頃。目に見えない相手と向き合うのは本当に大変です。しかしながらそれでもお役に立ちたくあえて模索したいと思います!子供の為に何を止めさせるかより、今こそ何が出来るかを大人が考える時期と思います。宜しければお読みください。

始めに、楽器は精密機器でもあり天然の素材も多く使われているという事を楽器の専門職として十分に理解した上で記載していますが、ウイルスについては全くの専門外である事をまずはお伝えしておきます。緊急事態宣言も解除され部活動の再開にあたり微力ながら少しでもお役にたてたらという気持ちからの個人的意見です、メーカーや他の記事では楽器のコンディションの為に禁止されている事項も含まれます。気になる方は読まないか専門家に御相談されるようオススメいたします。ひとつの参考意見としてお読みください。もし学生さんが読まれた場合は必ず顧問の先生の指示で行ってください。

さて、通常であれば楽器の木製部の膨らみや金属部が錆たりするのを避けるために、知識も無く専門家以外が楽器を消毒・水洗い等を行う時には細心の注意が必要で、安易に勧められるものではありません。しかしながら感染症予防対策という今の現実に学校現場に求められる必要性から、何が吹奏楽部の予防活動として出来るかという事であり、その為の過程でもし楽器に不具合が出たとしても、弊社を含め全国で活動されている楽器店・楽器リペア技術者の方々がサポートしてくれるという点はご安心されてもよいと考え前置きします。決して楽器を粗末に扱えという意図ではありません。ただ修復出来るものと、取り返しがつかないものを天秤にかけるならどうすべきかは明らかではないかという思いです。内容については正式な実証や科学的根拠の無いものも含まれ、そう言いつつも現実には結果に補償等は出来ませんのでご理解下さい。顧問の先生におかれましても初の事態で不安がおありになるとお察しいたします。活動のお手伝いに少しでもなれればと思いますが、生徒さんへの指示につきましては顧問の先生の判断の上でお願いします。

全国各地で吹奏楽が鳴り響き、心豊かな社会に戻り、何より吹奏楽部員の笑顔に会えることを心より楽しみにしています。また自粛期間中に引退された吹奏楽部員の皆さんの心にも明るい音楽が響き、今後の素晴らしい未来と益々のご活躍を心より応援しています。

株式会社中川楽器 中川啓

 

全般基本編

木製管体の楽器

【ピッコロ / クラリネット / バスクラリネット / コントラバス / 打楽器 など】

管体表面はクロス等での乾拭きのみが可能です。しかし汚れは取れますが除菌や消毒はできません。アルコール入り除菌シートなどを含むアルコール消毒液や塩素系消毒液、水拭きは材質の変色や変質の原因となることがあることを承知ください。

プラスチック製管体の楽器

【クラリネット / リコーダー/ 打楽器 など】

唾が垂れたり跡になったりしないようアルコールで軽く拭うか、ノンアルコール除菌シートのご使用が可能です。拭き取った後は柔らかく清潔な布で乾拭きしてください。塩素系消毒液は管体が変色・変質・キィの作動不良の原因となることがあることを承知ください。

金属製管体の楽器

【フルート / サックス / 金管楽器 / 打楽器の一部】

唾が垂れたり跡になったりしないよう軽く拭う程度であればアルコールのご使用が可能です。 タンポ、コルク、フェルト、ピストンボタン等については、アルコールによる変色・劣化・キィの作動不良の可能性もあることを承知ください。

木管マウスピース

個人専用の日常的な予防にはマウスピースクリーナーをご使用ください。清潔に保つ為の洗浄効果があります。ピッコロ / 木製頭部管を除くフルート頭部管は軽く拭う程度であればアルコールのご使用も可能です。ただし複数人で使い回す場合はマウスピースクリーナーだけでは殺菌出来ません。必ず殺菌作用のある物で洗浄してください。その場合、水や洗剤成分で変色する可能性がありますので顧問の先生に確認ください。

基本的には必ず個人専用の物を使用して、リスクの高い使い回しは絶対に避けてください。

金管マウスピース

個人専用の日常的な予防にはマウスピースクリーナーをご使用ください。清潔に保つ為の洗浄効果はありますが殺菌効果はありません。軽く拭う程度であればアルコールのご使用も可能です。ただし複数人で使い回す場合はマウスピースクリーナーだけでは殺菌出来ません。必ず殺菌作用のある物で洗浄してください。食器用洗剤等で水洗いも出来ます。

基本的には必ず個人専用の物を使用して、リスクの高い使い回しは絶対に避けてください。

※長年お使いの楽器については楽器表面の塗装・仕上げ状態が経年変化しているため、消毒による影響・変化については計りかねます。学校備品については顧問の先生の指示で、個人楽器については自己責任で消毒を行う時は確認してください。

 

 

 

体験入部編

体験入部・楽器体験における試奏楽器の取り扱いについての考え方

まず感染予防という観点から記載しています。必ずしも楽器に最適という訳ではありませんが、個人的意見としては学校備品を貸し出して使うのであれば、消毒等の感染対策をして、体験者も安心な状態にするべきだと考えます。その方が新入部員増加へも繋がると思います。通常メーカーは推奨していない方法もありますが、もし楽器に不具合が起こっても、それは修理調整すれば良いと考えています。なにより安心第一です。

顧問の先生で変色する等のこともあり得ることを踏まえて体験用の準備の指示をお願いします。※個人の楽器についても自己責任で判断してください。

 

木管マウスピース

唾が管体表面と内部に残らないように毎回よく水洗い洗浄しましょう。口に入っても安全なノンアルコールウエットティッシュかアルカリ電解水で除菌仕上げするのが良いと思います。

リード類

初心者の体験用であればレジェールリード等のプラスティックリードを使用して毎回よく水洗い洗浄をしましょう。食器用洗剤を使用すると除菌効果が上がります。       木製のリードは使い捨てるか体験者にプレゼントしましょう。入部者が増えるかもしれません♪ 再利用する場合は、しっかり水洗い洗浄し、口に入っても安全なノンアルコールウエットティッシュかアルカリ電解水などで拭き取りましょう。

金管マウスピース

唾が管体表面と内部に残らないように毎回しっかり水洗い洗浄しましょう。食器用洗剤を使用すると除菌効果が上がります。さらに口に入っても安全なノンアルコールのウエットティッシュかアルカリ電解水などで除菌するのも良いと思います

コントラバス・打楽器

手で触れる部分はノンアルコールウエットティッシュかアルカリ電解水で除菌仕上げすることもひとつの方法ですが変色する可能性は残ります。さらに木部は水に弱いのでよく乾いた綺麗な布でしっかり乾燥・拭き上げて下さい。こちらは楽器側より、体験前後の演奏者側の基本的な手洗いで対処出来るかと思います。

 

その他重要編

唾の処理・・・

いわゆる唾捨て雑巾の連続使用は止めましょう。吹奏楽器において飛沫感染のリスクとなる部分があるとすれば唾の処理の比重が高いかと思われます。雑巾を使い回している光景をよく見ますが止めましょう。キッチンペーパーや紙ウエスなどを使用し、一日ごとに廃棄しましょう。それが出来ない場合は個人の雑巾をジップロックに入れて毎日持ち帰り必ず洗濯しましょう。

楽器の基本的な掃除メンテナンスをしよう・・・

そもそも古いオイルがそのままや汚れたままの楽器はありませんか?ガーゼで拭いたら真っ黒なんて事はありませんよね?心当たりの場合はそもそも今までの使用方法を見直すチャンスかもしれません。この機にしっかりクリーニング・メンテナンスをしましょう。状態が分らない時はすぐ楽器屋さんに相談しましょう。

 

 

実験編

飛沫実験・・・

楽器を吹くと周囲に大量に飛沫しているのか??という巷の疑問にローソクを使って炎が揺れるか消えるかを実験してみました。トランペットをfffくらいで10センチの位置から思いっきり吹いてみましたが炎に全く影響ありませんでした。

ホームページ・フェイスブックでは動画を公開していますのでご覧ください。。(実験者の私は一応音大のTP専攻でした。音色についてはノーコメントでお願いします笑)

 

変色実験・・・

アルカリ電解水をスプレーして10分放置してみました。アルコールエタノール成分を含む消毒液をトランペットの表面に10分放置してみました。結果は、メッキやラッカー塗装部分は拭きあげれば今回変色等不具合はありませんでした。木部は表面の油分が吸い取られ少し曇ったように感じましたが、オイルで拭きあげれば変化を感じないレベルになりました。(個人的主観で変色しないことを保証している訳ではありません。使用する物にも左右すると思います。むしろ変色することは覚悟しての実験でしたので。)

 

 

 

まとめ編

♪部活動開始前&終了時の手洗いの徹底(可能なら歯磨き)

♪特に衛生上重要な口につけるマウスピースやリードまたそれらを拭いたりしたスワブ等は絶対共有せずに個人専用で活動する

♪何でも止めさせるのではなく、ミーティング等を通してウイルス防衛を先生と一緒に学んでいく

♪演奏での飛沫はほぼ無いと予想されることから、演奏以外のルーティーンを見直してみる(例えば大声で返事する事や、楽器の準備・運搬の方法など)

♪体験入部者用のマウスピースやリードには消毒に配慮し特例的に水洗いアルコール消毒して変色してでも体験者が安心出来るように準備する

♪楽器を共用して触る事についてはお互いが手洗いをしっかりした上で活動すればリスクは低くいので可能※使用後も手洗いする事を忘れずに

♪つば雑巾の置き帰り連続使用は止め、個人で管理持ち帰りして毎回洗濯をするか、またはキッチンペーパーなどを利用して使い捨てにし、ゴミ袋で密閉して毎回処分する※生徒にさせる場合は使い捨てゴム手袋を準備してあげましょう(安く売ってます)

♪部室・活動場所をいつも清潔に保ち、頻繁に窓開けや扇風機の併用などで換気循環させる

♪基本的な楽器のメンテナンスをこの機にチェックする※そもそもカビなども菌ですよ!

♪アルコールにアレルギー反応がでる生徒さんがいないかも把握が必要

など

 

最後に・・・

管楽器を演奏する自体ではほぼ周囲には飛沫していないと思われる。それも通常会話するレベル以下で、よほど咳やくしゃみの方が飛沫していると私は実験から感じた。(※是非実験映像を見て頂けたらと思います。)

このことより吹奏楽部でより重要なのはディスタンス以上に唾の処理の方であり、また日頃から清潔に楽器や環境を保つ・体調を整える・体調不良を感じたら部活を休み無理をしないなどが重要で、それらが可能な部活動の時間配分や部内ルールを整備した新しい活動のルーティーンを顧問の先生の元でしっかり部員とミーティングすれば、十分に安全な活動が出来るのではないかと思いました!!!

私はウイルスの専門家ではないので、この記事に科学的根拠は出せませんが、音大で学んだ演奏方法と照らしても飛沫させながらの演奏するのは逆に不可能だということは経験からも明らかです。そうであれば演奏以外の環境やルールを工夫していけばよいのではないかと考えます!

楽器のコンディションや道具の変色を心配される場合も、私の西日本豪雨の被災楽器の洗浄経験等も踏まえた考えは、生徒が悪気なく消毒・洗浄した楽器にもしも不具合が起きたとしても、それは修理調整で機能修復が十分可能だという事です。道具の消耗や洗浄による変色リスクなど不安は残りますが、それは大人の采配で解決可能なことばかりなのです。それよりも子供たちの自己防衛でもあるウイルス対策を優先してミーティング等を通して子供たちの発想も追加して、どんどんチャレンジしてみてはどうでしょうか?闇雲に何でも止めさせるのではなく、子供がこの先の長い人生に必要な防衛を一緒に学んで行くのはどうでしょうか?極論ですが必要な時には楽器であろうが変色しようがアルコール消毒も使うべきだと思います。安心の為に安全に挑戦する活動をしながら益々吹奏楽が発展し、その音色で皆さんの周りの方々を楽しく元気にしていく方が重要だと考えます。そのお手伝いが出来る日を楽しみにしています。最後までお読み頂きありがとうございました。

編集にあたり協力いただいた富山県丸三製薬バイオテック株式会社 深沢恵介氏にも心より感謝いたします。

中川啓

写真・・・今回使用した除菌用品や、唾の処理に便利だった使い捨てウエス

全体編集♪株式会社中川楽器代表取締役

中川啓

編集アシスタント♪中川楽器リペア技術者

大森悠生

取材協力♪丸三製薬バイオテック株式会社

深沢恵介

現場協力♪西本めぐみ